こちらもご存知でしょうが、梨木香歩の『村田エフェンディ滞土録』も文庫化されました。
曇りのない村田くんの眼を通して見た、約100年前のトルコの様子、下宿先での各国の人々とのユーモアに溢れた交流を楽しむうちに、文化とは、神とは、国家とはといった大きな問題までも考えさせられる傑作。特に狂言回しの鸚鵡の使い方の巧みさは筆舌に尽くし難し。
いつも梨木さんの作品が文庫化された時には書いてるような気もしますが、これがたったの500円で読めるなんて素晴らしすぎです。姉妹編の『家守綺譚』とあわせても880円ですから。
尚、今回はおまけの短編はありません。構成が完璧な作品だけに仕方ないでしょう。代わりに茂木健一郎のわかったようなわからんような解説つき。あんまりうれしくないか・・・。
村田エフェンディ滞土録梨木 香歩