バルタザールの遍歴
ひとつの体を共有する双子(二重人格ではない)の数奇な運命の物語。
貴女いったい何歳? 本当に日本人? これ何作目? 友達いる? 等々、思わずツッコミ入れてしまう驚異のデビュー作。媚びないドライさ、メタ構造など必要としない作品世界の構築力、圧倒的な情報量とそれの見せ方のスマートさが魅力。
天使
乱暴にまとめてしまえば「美少年超能力スパイもの」
上記の魅力がさらに洗練されて、「ついてこれない奴は置いていくわよ!」という感じのスピーディさ。これだけの内容でこのページ数というのはちょっと信じ難い(その代わり、決して読み易くはないですが)。美少年マンガのような萌え感もいい。続編もあるそうなのでそちらも楽しみ。
自分も
acoyoさんに『戦争の法』を教えてもらうまで彼女のことはノーマークだったのくせに、あえて偉そうなことを言わせてもらえば、本好きならこの作家を読まないなんてありえないでしょうと(←調子のりまるだしですが、読んでいない人に対する優越感も含めてそう言い切っちゃいましょう)。もっとも、読み手を選ぶという雰囲気もあるので、書店で『天使』の解説を読むか、下記のサイトをご覧になって、ピッっとくるものがあれば、ぜひ一読を。紹介した2冊は共に文庫なので、(合う人にとっては)たった数百円で至福の時間を過ごせるでしょう。
新大蟻食の生活 ご本人のサイト
インタビュー
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