キングのコメント「ヒッチコックの最高傑作に比肩するスリラー。一気に読んだ。このサスペンスはたまらない。」
キングの作品を思わせるところもなきにしもあらずの盗作ものというか作家虐待ものというか。後半の展開はあんまりだと思うけど、そこそこ面白いし、業界の内幕ものが好きな人にはかなり楽しめるかも。でもキングの評ほどの傑作ではないし、『リプリー』プラス『シンプルプラン』なんて評価もとんでもない。
そこそこ面白いんだけど、読後の印象は「なんだかなあ」という感じで、そのなんだかなあ感を上手く言葉に出来なかったので今まで感想を書かずにいたのですが、恩田陸の『小説以外』にそれを表現するぴったりの言葉があったので引用すると
私が密かに「『傾向と対策』小説」と呼んでいるものがある。(中略)すなわち、作者は知的職業でそれなりの地位を築いている三十代から四十代の男性。人生のポートフォリオもばっちりできていて、弁護士や税理士やエージェントのチームを用意した上で、巷で売れているエンターテインメントのマーケティングを周到に行ったあげく、仕事で培った情報を満載して、発売前からドリームワークスが映画化権を買っちゃうような小説のことだ。
この後にも「高級レストランでよくできたレトルト食品を出されているような気分」とか、「彼らの作品には「語る」喜びが感じられない」と続く。そこまで言わんでもという気もするものの・・・あまりにぴったりで、もう書くことがないっす。