運命の三人 & 荒地
とにかく幸せだ ― 順調に刊行される「月刊ダークタワー」に対する感想なんて、もうこれしか無いのですよ本当に。今のところは角川版で既読の部分でもあるにかかわらず、です。

冒険の旅には困難はつきものといえども、えーっ、いきなりそれかよ! と思わせるほどえらいことになるローランド。キングの作品のキャラクターは、そのほとんどがある種の「はみだしもの」ではあるけれど、旅の仲間として呼び寄せる面々のはみだしっぷりといったら尋常ではない。これほどマイナス要因ばかりで構成されていながら、1作目とは比べ物にならないほど、というかいきなり物語が爆発的に加速する『運命の三人』

そして、緩急のリズムが見事(<河の交差点>のところで涙)で、理詰めで物語が進まないと気がすまないタイプには悪夢のような、不思議なことに対する説明が無い(<カ>だから! <ケフ>だから!)ところも大好きで、なによりもキング自身も驚いているという(!)、あの終わり方が最高(初めてこれを読んだ時、もしキングに何かあってこのシリーズが未刊のままになるのなら、ここで終わって欲しいと願った)で、個人的には今のところシリーズ中の最高傑作の『荒地』

このシリーズだけでなく、キングの作品全般に対して私が最も魅力を感じているところが、『荒地』のあとがきに書かれている。
物語に内在する力が話の展開を決定するような本は、その結末も物語自身が語ることを許さなければならない。
つまりキングはその作品世界の全能の神ではないのだ。神どころか「物語の奴隷」と言ってもいいかも知れない。(プリンスに対しても同じように感じでしまうことがある。彼は音楽の女神に祝福された天才などではなく、寝る間も無く働かされている奴隷なのではないかと ― だって彼が寝ている姿を誰も見たことが無いという伝説さえあるのだから) 物語の力に従い、それが発酵するまで充分に時間をかける。こんな書き方をする作家が他にいるだろうか? だからキングのその創作姿勢に敬意を表すなら、このシリーズを全巻完結してからイッキ読みしようなんていう考えは邪道ですよ。『荒地』と『魔導師と水晶球』まで1ヶ月のインターバルでも短すぎるぐらいなのに。

なにはともあれ、このシリーズはこれからが佳境。予定通りに刊行され続けること(がんばれ風間さん!)、そして読者である我々自身が、大過なくこの超大作を読み続けられることを切に願うのみです。

追記あれこれ
しゅうさんの情報によれば『魔導師と水晶球』は2月28日、『カーラの狼』3月28日に発売で、どちらもなんと上中下巻になるそうです。
・sakanapoさんの尾びれのついた話で、例の「鮒産道」の原文が紹介されています。
・栗本薫に一言ある方は、プレゼント応募ハガキに意見を書けば良いのではないでしょうか。私はそうするつもりです。
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by kingdow | 2006-02-11 08:23 | ダーク・タワー
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