16歳の少年スコットの遭遇する数々の危難と、すさまじいサバイバル。少年スコットの乗ったセスナ機は、雪嵐のなか山中に墜落。狼の群に襲われ、謎の殺し屋と一夜を過ごすスコット。息子の遭難を知った父親、母親をまじえ、ドラマは最高潮へ。新鋭の描く、超絶冒険サバイバル小説。 (扶桑社HPより)
スコット君が雪嵐の中、セスナに乗ったのはメタリカのコンサートヘ行くため。スコット君は大のメタリカ/ハードロック・ファンで、バンドでギターを弾き、髪の毛はスマーフのように青く染めている。同時に成績優秀でお父ちゃんと仲良しでもある。「なんかウソ臭いな」と思ったアナタ、正解。この作品では主人公スコット君のキャラクター設定で、ハードロック好きのということが大きなポイントになっているのだけれど、それは借り物の小道具に過ぎず、結末部分で作者はロックに熱中することを一種の「はしかのようなもの」とみなしていることがバレる。この点だけでも全世界のメタリカファンに呼びかけて、この小説の不買運動を起こしてやろうかという気になる。少なくとも私はもうこの作家の本は絶対読まないと思った。
スコット君の母親の設定にしても同様で、「女性のキャリアと子育て」という問題に関して、作者の保守的な姿勢に激怒する女性も多いのではないだろうか。
いろんな要素を盛り込むのはいいんだけど、それが借り物に過ぎず、対象に対する敬意など感じられず、結果として、物語的には面白いのにもかかわらず、全体に「つくりもの」めいた雰囲気が漂い、色合いを添えるはずであったものが逆効果になってしまっている。
それと、スコット君の言葉遣いが柔らかすぎて変。設定上そんな喋り方するわけないやろと感じた箇所多数。翻訳かなあ?