アイルランドに行き、ケルトにまつわるものに触れることは、キリスト教以前のことを知るとともに、「キリスト教以後」の「これから」を考えるために役に立つのではないか、それは現在の悩める日本人への示唆をも抱合しているのではないか。
そう考えた著者はケルト巡礼の旅に出て、TV番組と本書を生んだ。
本書は河合隼雄にとって初の試みの「口述」によるもので、そのせいか非常に読みやすく「河合隼雄初心者」にもうってつけの一冊となっている。ただ、あくまで「河合隼雄がケルトに触れて考えたこと」についての本なので、ケルト文化に対する興味から手に取った方にはものたりなさを感じさせるかも知れない。そのあたりはやっぱりTV番組のほうを見ていないとという気も。だけどあれ「ハイビジョン・スペシャル」だったしな・・・。ウチは見れないんですよハイビジョン。だからTV番組のDVD付きバージョンも出してくれたらよかったのになNHK出版さん。