「病理社会の心理学」をテーマとする三部作の第一作だそう。(二作目は前に紹介した『スーパーカンヌ』)
閉鎖的なコミュニティで殺人事件が起き、それを部外者である主人公が調べていく過程で、そのコミュニティの秘密が徐々に明らかになってゆくという構図は、『スーパーカンヌ』と全く同じ。ミステリーの枠組みをしっかり守っていて読み易く、オチも決まっていて娯楽度が高い。洗練度では『スーパーカンヌ』には劣るものの、傑作だと思う。
「政治はもう、大衆の想像力に触れることはない。宗教は、人類の進化史において登場するのが早すぎた。 中略 残念なことだが、今では、私たちの精神をかき立てるものは犯罪しかない」
もちろんこの作品で描かれる世界は極端だが、ダークサイドを全く排除してしまった生活は、精彩に欠けることは間違いない。危機に直面して結束が強化されるのも真理だ。「町興しに犯罪を」か・・・。
コカイン・ナイト