神戸市立博物館で開催中の「栄光のオランダ・フランドル絵画展」に行って来た。
この展覧会ではルーベンスやレンブラントなど、有名な画家の作品も見れるのだけれど、皆のお目当てはひとつ。フェルメールの「画家のアトリエ」(別名「絵画芸術」)だ。
この作品は、最後の一室に、一点だけで展示されていて、なんでもこの絵が日本に来るだけで「事件」だと言われるぐらいの貴重な作品らしい。しかし私にはどうもその良さがわからなかった。
個人的にフェルメールの魅力は、ミニシアターで単館上映される、地味ながら質の高い映画のようなものだと思っていた。美術史に詳しいわけでもないので間違っているかも知れないけれど、他の画家たちが寓意をこめた絵、宗教画、王や貴族の肖像画を描いていた時代に、彼はなにげない日常の一コマを、素朴かつ穏やかな雰囲気で描く画家だと思っていた。
しかし、この「画家のアトリエ」はフェルメールの作品中でも、最も寓意性の高いものだそうだ。ぱっと見た瞬間に「あっ、いいな」と感じるのではなく、「うーん、この絵は何を意味しているのだろう?」などとと考えてしまう絵は、自分にとっては距離があるということで、その距離は、いくら解説などを読んで知識を身につけても、なかなか縮まるものではない。
いくら名画といわれても、「レースを編む女」や「真珠の耳飾りの女」よりもこの作品が魅力があるとは、私にはどうしても思えなかった。単に、私の趣味には高尚過ぎただけなのかもしれないけど。