熱心なキングファンには、彼のルーツや嗜好を知る一助として、ホラーマニアには資料として(おすすめリストをコピーして常に持ち歩くこと!)、なぜ自分がホラーに惹かれるのか疑問に思っている人には、その理由や意味を探る道標として、ぜひとも読むべき。それ以外の人は手を出さないほうが無難だろう。とことんマニアックで、信じられないほど饒舌な作品だから。普通の人なら、この本の分厚さを見ただけでも恐れをなすに違いない。
前にも書いたが、本書は1993年に福武書店(現ベネッセ)から出版された『死の舞踏』の全面改訳新版である。福武版は絶版になっていたので、今回の復刊はファンにはありがたい。ただ関連書籍は足が速いので、気になる方は早めに購入されたほうがよいだろう。
巻末にはキングお勧めのホラー映画、小説それぞれ100本のリストがある。(対象は1950年から80年の間)小説のリストの中で、私が読んだものはたったの20冊だった。ティアーズ・フォー・フィアーズの曲ではないが、「書庫にはまだ読むべき本がある」ということだ。それとも、死の舞踏はまだまだ続くと言うべきか。