彼の新しい短編集が出ていたなんて、「このミス」読むまで知らなかった。あれも少しは役に立つじゃないか。
はじめの数編は『特別料理』、『九時から五時までの男』に比べると全然ダメやんと思ったけど、まさしく「奇妙な味」の理想的な逸品と言ってもいいような表題作以降は優れた作品が並ぶ。
エリンの短編集のクオリティについては私がつべこべ言う必要も感じないので、それをどう読むかという話を。やっぱりこういう本は、暖炉のそばにお気に入りの椅子を置いて、一日一編だけをじっくり味わいながら読む ― というのが理想なんですが、もちろん我が家には暖炉なんて無いし、だいたい家で本を読む時間なんて情けないことに全然無い。せめてベットで毎日寝る前に読めたらと・・・。通勤電車で読むにはリッチ過ぎるというか、続けて読むのがもったいなくて。豊かな内容が、それにふさわしい読書環境を要求する(ように思える)短編集を読むたびに、それに応えられないせいで感じるこのちょっとやるせない気持ちををどうすれば良いのだろう?