「ランド・オブ・ザ・デッド」を見てきた。娯楽映画としては文句なしに面白く、やっぱりリメイクのドーンとか「バイオ・ハザード」なんかが束になってもこの迫力には敵わないと思わせる。それとゾンビたちのお食事シーンをこれほど丹念に描けるのはやっぱりロメロだけ。殺し方、食べ方のバリエーションだけでも、お好きなヒトにはたまらないと思う。
廻りを敵=ゾンビに囲まれ、一部の権力者が贅沢に暮らす一方、大多数の人々はスラム暮らしという設定もわかりやすすぎるけど、ゾンビが蔓延する時代の中での贅沢や洗練はショッキングなほど暴力的に見える。その地を牛耳るデニス・ホッパーの悪代官ぶりもいい。
過去のゾンビ・シリーズの持ち味に、マッド・マックスのような娯楽性が加わった感じ ― 簡単に言ってしまえばそんなとこかな。
しかし、心から楽しんで見ていながら、エンドロールが流れてきたときに、ふと満ち足りていない自分を感じてしまった。どう言えばいいのか、環境が閉塞的な設定ではないからかもしれないけど、今までの作品と比べると、濃密さが薄れてしまったように感じられた。過去の作品はあくまでも人間(たちのろくでもなさ)が中心だったのが、今回はゾンビの変化によりウエイトが置かれているせいもあるのだろう。
ともあれ、もはや手向けの花束代わりの花火にも心(?)奪われることのない、ネクスト・レベルに進化したゾンビたちの今後は大いに気になるところ。まだ続くよね、これ。