キング絶賛&イーストウッド映画化の『ミスティック・リバー』でお馴染み、デニス・ルヘインの「袋とじ」本。
精神を患った犯罪者を収容する孤島の病院(しかも密室!)から逃げ出した患者、謎のメッセージ(暗号!)、迫り来る嵐・・・しかも(しつこいけど)袋とじ。いかにもな舞台装置だけど、マイケル・スレイドの『髑髏島の惨劇』みたいにマニアックでハイパーなわけでもないし、袋とじのくせにサラ・ウォーターズほど鮮やかな逆転があるわけでもないし。結末まで読み進めば『ミスティック・リバー』と同じように、どうしようもなくどよ~んと暗い世界が。
もとよりキングファンの私は、ペシミスティツクな世界が嫌いなわけではないんだけど、この人の場合は「生真面目な暗さ」というか、読んでいて息が詰まるような苦しさを感じてしまう。確かに強烈で悲しい「愛の物語」ではありましたが、私は共感できませんでした。