いくら脚本が素晴らしく、監督も助演陣もいい仕事をしている傑作といえども、主人公が全盛期のスタローンやシュワちゃんみたいなマッチョ・タイプで銃をバンバンぶっぱなしまくるような映画は見たくない - もしあなたがそのようなタイプなら、本書には手をださないほうがいいだろう。
「人はいつでも次から次へと調達できる。人はガン細胞のように増殖するから。こっちが望もうと望むまいと。人間なんてものはそれこそ腐るほどこの世にあるものなのよ。(中略)同レベルのヴァーチャル・フォーマットをセットするより本物のスナッフ娼婦を使ったほうが安上がりなのよ。本物の人間の肉のほうがマシーンより安いのよ。これはわれらが時代の自明の理よ」
これは敵役のセリフだけと、人間の心がデジタル化され、肉体はただの入れ物になってしまった27世紀の世界観は魅力的だし、ストーリーも悪くない。ただ著者のハードボイルド趣味が行き過ぎて、主人公のキャラクター造形に失敗したことが本当に痛い。ジャケ買い失敗か・・・。
くわしいあらすじ等は
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記事左上の画像がカバーで、中身はこんな感じ。ほんまに装丁は最高なのに。
オルタード・カーボン