この少し変なタイトルに引っかかりを覚えたら、既に橋本治の術中にはまったようなもの。タイトルの意味については、冒頭に書かれているが、平凡なようでそうではなく、それだけで「つかみはOK」的な上手さを感じた。
しかしこれが、タイトル通りの本だと思ったら大間違い。本書は、テーマである「美しいがわかる/わからない」ことに興味のある人向きではなく、完全に橋本治のファン向けの本だ。それは賛否のはっきり分かれているアマゾンのカスタマー・レビューを見るとよくわかるだろう。橋本ファンは絶賛、そうでない人には「なんじゃこれ」的な評価になっている。橋本治に対してなんの興味もない私にとっても、「あなたの子供の頃のことをいろいろ聞かされてもねぇ」という感じだった。結局褒めてるのはタイトルだけかよ。
人はなぜ「美しい」がわかるのか ちくま新書