「和製スタンド・バイ・ミー」というポップにつられて購入。あくどいな新潮社。
小学校6年生の仲の良い男子3人組。死んだ人を見たいという興味から、一人暮らしの老人を観察しはじめた。やがて子供たちと老人の間に交流が生まれる。子供たちは老人からさまざまなことを学び、孤独だった老人は怠惰な生活を改め、生きる活力を取り戻していく。
少年と老人と言えば『ゴールデンボーイ』を思い出すが、あんな危険な関係ではもちろんない。
でもこの本の宣伝に、『スタンド・バイ・ミー』を引き合いに出す必要性は全く感じない。それどころか、これほど瑞々しい魅力に溢れた作品に対して「和製スタンド・バイ・ミー」などと形容するのは失礼だろうとも思う。まあそれでも、その宣伝文句がなければ、私はこの本に出会っていなかっただろうから、許すとしよう。
子供たちと老人の関係があまりにも理想的すぎるので、私はこの作品を一種のファンタジーとして読んだ。お年寄りには、孫との付き合い方の参考になる「実用書」としての価値もあるのでは。
夏の庭